鈴木 勝 研究室
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政策実務セミナー「地域経済の活性化」
全国市町村国際文化研修所

 我が国の地域経済については、依然深刻な状況にあり、この回復を抜きにしては真の景気回復はありえないとも言われています。
 このような中、従来のような公共事業を主体とした景気対策については、国の厳しい財政事情等もあり、あまり期待を持てる状況になく、また地方分権化の流れの中で、自治体自らが民間事業者等とも連携しながらこの課題に取り組んでいくことが強く求められています。
 そこで、全国市町村国際文化研修所では今年度新たに標記研修を実施することといたしました。本研修では実務家や学識経験者、先進自治体関係者等による講義・事例紹介の他、参加者同士による意見交換会等を予定しております。
 多くの皆様のご参加をお待ちしております。



 開催要領 

 

開 催 日
平成17年2月16日(水)〜2月18日(金)
場 所
全国市町村国際文化研修所
滋賀県大津市唐崎2丁目13番1号(JR京都駅より湖西線で約15分 唐崎駅下車徒歩3分)
対 象
市区町村等職員
宿 泊
全国市町村国際文化研修所宿泊棟(宿泊型研修)
経 費
11,850円
上記金額には、研修、宿泊、食事、資料等に係る費用のすべてを含んでいます。
申込期限
平成17年1月14日(金)まで
申込書により、全国市町村国際文化研修所教務部までFAXでお申し込みください。
なお、申込書がお手元にない場合は、下の「申込書」をクリックして、申込書を印刷してご使用ください。
※経費納入方法、研修所への交通手段等につきましては、受講決定通知によりお知らせいたします。
問い合わせ先
全国市町村国際文化研修所(JIAM)教務部
〒520-0106 滋賀県大津市唐崎2丁目13番1号
TEL 077(578)5932 FAX 077(578)5906
E-mail:kenshu@jiam.jp



 研修の内容及び日程 
(日程は都合により変更となる場合があります。)
 

2月16日(水)  
11:30〜 受付・昼食
12:50〜13:00 開講・日程説明
13:00〜14:50 「地域経済の活性化へ向けて」
  経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策課長 上田 隆之 氏
※地域経済の現状や課題、そして課題解決の方向性について対日投資の促進の観点も含めてお話いただきます。
15:10〜17:00 「地域経済の活性化〜倉敷から〜」
  倉敷商工会議所会頭 大原 謙一郎 氏
※地域経済の活性化へ向けた提言を倉敷における取組等も踏まえながらお話をいただきます。
17:00〜 施設オリエンテーション
17:30〜 交流会
   
2月17日(木)  
9:25〜12:00 (次の2つのうちいずれかを選択いただきます)
選択1「地域観光活性化へ向けて」
   大阪明浄大学教授 鈴木 勝 氏
※地域観光の活性化へ向けての提言等を外国人観光客の招致への取組などを含めてお話をいただきます。
  選択2「地域経済と中小企業(地場産業)」
  政策研究大学院大学教授 橋本 久義 氏
※地域経済の活性化のために必要となる中小企業(地場産業)との連携等につき、お話をいただきます。
12:00〜13:00 昼食
13:00〜14:10 事例紹介1
「三浦市における取り組み」(地域再生計画認定事例)
〜6次経済の構築で地域経済の活性化を図る〜
  神奈川県三浦市政策経営室長 木村 乃 氏
※三崎マグロのブランドをフル活用し、バイオマス導入による資源循環型水産加工団地の整備やフィルムコミッション活動、エコツーリズムの促進などで第1次、第2次、第3次産業を連携させた地域再生計画の認定を受けての神奈川県三浦市の取組をご紹介いただきます。
14:25〜15:35 事例紹介2
「東大阪市における取組〜中小企業の活性化へ向けて〜
  大阪府東大阪市経済企画課主幹 鶴山 崇 氏
※人工衛星の打ち上げ計画などに見られるように東大阪の中小企業が元気です。各種研修事業や産官学の連携など各種の支援事業を中心とした大阪府東大阪市における取組等についてご紹介いただきます。
15:50〜17:00 事例紹介3
「上勝町における取組」(構造改革特区認定事例)
〜まちの活性化のための地域からの挑戦〜
  徳島県上勝町まちづくり推進課長 星場 眞人 氏
※構造改革特区制度を活用しての過疎タクシーや各種第3セクターを活用した観光振興など地域振興のためのアイデアに溢れる取組についてご紹介 いただきます。
17:30〜19:00 貿易ゲーム(自由参加)
  特定非営利活動法人開発教育協会 荒川 共生 氏
※貿易が世界の人々の暮らしにどのような影響を与えているかを、一種の疑似体験(ゲーム)を通じて理解していただきます。
   
2月18日(金)  
9:25〜12:00 「コミュニティビジネスによる地域の活性化」
  千葉商科大学教授 藤江 俊彦 氏
※福祉や環境、まちづくりなど様々な分野で注目されているコミュニティビジネスについて、事例紹介も交えながらその意義や行政による支援策等についてお話をいただきます。
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 「地域経済の活性化のために今 自治体に何ができるか」(意見交換会)
※いくつかのグループに分かれていただき、各自の自治体での取組の紹介とともに、自由に意見を交換していただく場です。午前中の講義を担当いただいた藤江先生にコーディネーターとして加わっていただきます。
15:00〜 閉講・解散


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平成16年度政策実務セミナー「地域経済の活性化」
 

 我が国の地域経済については、依然深刻な状況にあり、この回復を抜きにしては真の景気回復はありえないとも言われています。
 このような中、従来のような公共事業を主体とした景気対策については、国の厳しい財政事情等もあり、あまり期待を持てる状況になく、また地方分権化の流れの中で、自治体自らが民間事業者等とも連携しながらこの課題に取り組んでいくことが強く求められています。

 そこで、JIAMでは、今年度新たに「地域経済の活性化」をテーマとした研修を2月16日から18日の3日間の日程で開催いたしました。

 本研修では実務家や学識経験者、先進自治体関係者等による講義・事例紹介のほか、参加者同士による意見交換会を実施いたしました。

  2月17日(木)
   9:25〜12:00


「選択1:地域観光活性化に向けて」

  大阪明浄大学教授
  鈴木 勝 先生
                

 

                                          <講義レジュメ>                                  

              2005年2月17日 

平成16年度 政策実務セミナー
地域観光経済の活性化
     

大阪明浄大学観光学部教授 鈴木勝

m-suzuki@meijo.ac.jp    http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/

[序]

[T] 世界的な観光の隆盛と“観光いびつ”現象の日本

@)グローバル大交流時代と国際観光の意義

 @「世界および日本の観光量」

    年

 

項目

1980

1990

1995

1998

2000

2001

2002

(推計値)

2001/1980
(%)()内:
平均伸率

世界観光客数

(百万人)

284.3

457.3

552.3

 

625.2

 

687.2

684.1

(702.6)

240.6
(5.3)

東アジア太平洋
観光客数(“)

21.0

 

54.6

 

81.3

 

86.9

109.1

115.3

(125.4)

549.0
(8.4)

日本人海外旅行

者数(万人)

390.9

1,099.7

1,529.8

1,680.6

1,781.9

1,621.6

1,652.3

414.8

7.0)

訪日外国人数

(万人)

131.7

323.6

334.5

410.6

475.7

477.2

523.8

362.3

6.3)

(資料)WTO(世界観光機関)/JNTO(国際観光振興機構)/数字で見る観光 

A国際観光の意義

経済的側面  :「外貨獲得」「雇用創出」「所得創出」「税収」
                「投資誘発」

社会文化的側面:
「国際理解・国際協調・国際協力」「平和創出」
自然環境的側面:「自然・資源の保護保全」

A)観光国としての日本(“観光いびつ”現象)

@日本人海外旅行客:訪日外国人

1,652万人:524万人≒3:1  <2002年>

1,330万人:521万人      <2003年>(SARS・イラク戦争・テロ)

1,680万人:610万人      <2004年  JTB推計>

1,740万人:710万人      <2005年 JTB見通し20051月時点>

2,000万人:1,000万人 =2:1 <2010年>

2002年の訪日外国人旅行者数は、日本人海外旅行者数の3分の1以下であり、国際旅行収支は、約2.9兆円の赤字という片方向の交流となっている。国土交通省白書より

Aジャパン・パッシング傾向(外国人訪問人数順位 世界33位:2002年) 

B東京圏一極集中化傾向(成田55% 関西23% 名古屋10% 福岡5% 02年)


<参考>■空港別海外旅行者数(2003年) <注>SARS発生でやや異常な様子となる。
総海外旅行者数 13,296.3千人   (対前年 ▲19.5%)
*成田 7,776.4千人   シェア(58.49%)
*関西 2,916.8千人      (21.94%)
*名古屋1,204.4千人      ( 9.06%)
*福岡   590.0千人      ( 4.44%)

B)日本の目指す道と「2010年テン・ミリオン」計画

    「インバウンド」と「アウトバウンド」との均衡

    「住んでよし、訪れてよしの国づくり」(観光立国懇談会)

    「ビジット・ジャパン・キャンペーン」(VJC2003)スタート

 [U]国際観光振興戦略(国家における)
@首相・観光(担当)大臣・大使などの観光アピール&プロモーション活動
 例:最近の小泉首相の「観光立国」アピール

例:ニュージーランド:アメリカ同時多発テロ直後の「安全な国・ニュージーランド」宣言(首相・観光大臣)

 例:韓国:大統領TV宣伝・韓国観光公社の活発な動き・最近の韓流ブーム

 例:タイ:「アメージング・タイランド」キャンペーン 

A国家・観光機関による「観光戦略」「情報発信」「マーケティング分析」
 例:観光立国(オーストラリア)の手法・・国家目標・観光プロへの発信
 例:香港のSARS収束後の迅速な対応・本土中国人の「香港個人旅行」開始

 例:インターネット上のホームページから推測できる“観光立国度”
<評価基準>

1)「熱意度」:HP全体の観光立国への“熱意”がうかがわれるか。
2)「国家主張」:国家首脳・観光大臣の主張が明確に頻繁に発表されているか。
3)「一般情報量」:一般観光情報の多寡。
4)「専門家情報」:国の内外の観光産業学術関係者に対しデータが発信されているか。
5)「インバウンド伸率」:近年の国際観光客(インバウンド)の増加率。
6)「言語数」:母国語以外に、何カ国語で発信しているか。
7)「更改頻度」:情報が頻繁に、そして迅速に更改されているか。

<スズキ流評価・・・2004年度初期>

B国家観光機関での外国人プロフェッショナルの登用
 

C外国人渡航緩和政策
 例:「査証免除・緩和」トランジット・地域限定・期間限定・年齢限定

    マーケット限定(修学旅行・愛知博期間etc.)・数次ビザ制度

    空港手続き簡素化

 例:査証早期発給システム(ドイツなど3日間−日本1〜2週間−)
 

D民間企業・起業活性化支援策 
 

[V]国際観光振興戦略(地域における)
@)行政(官)レベル
@地域首長・観光機関による「観光戦略」「情報」「マーケティング分析」発信

例:観光戦略の策定(目指す道・目標数値etc.)
 例:地域観光振興推進機関と地域連携ネットワーク(地域内/地域外/国際的)

例:観光統計」:訪日外国人に関する各種統計(国別人数・推移、旅行形態、客層セグメント、1人当たりの消費額・消費内容、宿泊状況、宿泊日数、宿泊にかかわる消費額など)

例:HP・・・“ナマ”で役立つ一般情報・外国人観光客が参画した内容
 例:観光プロへの発信(国内&海外。特に、マーケティング分析

A外国人誘致政策の「地域的」導入

例:渡航緩和政策・・・「査証免除緩和」トランジット・地域限定・期間限定
B観光機関・組織での外国人プロフェッショナル登用

C観光関連企業・活性化支援策
 例:支援金策・・・豪州版EMDG(Export Market Development Grants

一種の輸出振興策
・当該地域を含むツアー・パンフレット作成費
・当該地域の宣伝用海外ミッションの出張旅費
 

A)民間レベル

@インバウンド・ビジネスの拡大

    地域・旅行会社のビジネス・モデル改革(インバウンドへのシフト)
(参考)「JATA(日本旅行業協会)の取扱」インバウンド比率:全取扱商品の0.5%(国内旅行商品・海外旅行商品との比較)

          JATA加盟旅行会社 1,307社取扱(2000年度)

区 分

取扱額(%)

粗利益(%)

外国人旅行

0.52

0.74

海外旅行

43.1

42.5

国内旅行

56.3

56.7

合計

100.0

100.0

 ☆海外企業・外国人によるインバウンド・ビジネス参画の促進
例:外資系旅行会社の誘致&合弁旅行会社設立
  新規、または日本に拠点を持つ旅行会社(豪カンタス航空関係旅行会社、
  
中国国際旅行社総社など)の地域観光産業への参画。

例:海外誘致ミッション&会議への積極的参画
例:GDS活用(グローバル・デストリビューション・システム:アマデウス)
  
在日本
外資系ホテル・総支配人やマーケティング・マネジャーの活用 

A「地域発信」旅行商品の開発(観光資源の整備・情報発進・旅行商品主催)
 例:旅行における選択肢拡大(国内交通機関・宿泊施設・レストランetc.
 例:低廉化・便利さへの手法・・・旅館での
「泊食分離」」システムの導入・

 定期観光バス」(外国語ガイド付き・・・中国語・ハングル)催行

例:地域拠点型旅行会社による旅行商品造成・情報発信

例:FIT個人旅行向け商品(日本人向け商品・外国人向け商品のミックス化)

 例:他の地域との連携商品(東京・大阪などとの大都市とのジョイント)

例:新たな分野への進出・・・地域での受け入れ態勢の充実
・国際会議・インセンティブetc.(MICE)
・産業観光テクニカル・ビジット(TV)
・青少年修学旅行

B)「行(官)・民・学」合同
@連携した情報発信―国家・地域観光推進機関・企業―
 ☆「一般観光情報」+「観光プロ対応情報」(複数外国語での発信)
A合同観光プロモーション

    効果的「海外ミッション」「FAM(研修)ツアー」

実施方法:段階的・国別・重点的・継続的

 例:地域連携ミッション(地域内/地域外/国際的)    

例:効果的編成メンバーによるツアー 

B    人材育成・登用

    「インバウンドスタッフ」増強や「ガイド・通訳・インタプリター(自然ガイド)」養成・・・産業観光、エコツーリズム、世界遺産、国際会議、見本市に対応できる人材

    大学・専門学校etc.でのインバウンド「観光学」教育

    「女性ホスピタリティ担当者」の積極的な登用

 

[W]まとめ―これからの“地域観光活性化”―
(@)地域観光リーダー(組織・グループ)による率先的誘致活動
(A)明確で、重点を置いた観光目標と振興手法 
(B)継続した観光振興活動
 

                               以上