鈴木 勝 研究室
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<観光学コラム・・・観光学部を目指す高校生 のみなさんに>
(メルマガでお知らせしたものを、HPに掲げます)
大阪明浄大学HPに連載(10回分)。
ー「観光学」を自己流に解釈してある部分もありますので、ご容赦を!ー

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     第1回 2002.09.19
       観光学を勉強すると、将来どんなところに役立つのですか?<若い学問「観光学」物語 その1>
     第2回 2002.10.03
       
観光学を勉強すると、将来どんなところに役立つのですか?<若い学問「観光学」物語 その2>
   
 第3回 2002.10.17
       
外国には「観光大臣」がいますが、なぜ、日本にはいないのですか?<世界観光大臣物語>

     第4回 2002.10.31
       
日本人海外旅行者1,600万人、訪日外国人400万人・・・、
         日本には、なぜ、こんなに外国人がこないのですか?
<アウトバウンド&インバウンド観光物語>

     第5回 2002.11.14
      「観光の効果」、いい事ばかり言っていますが、悪いこともあるんじゃないですか?
         <観光振興・プラス&マイナス物語>

    第6回 2002.11.28
     インターネットが発達すると、将来「インターネット旅行会社」ばかりになってしまうのですか?
 <未来旅行会社物語>
    第7回 2002.12.12
       世界の航空会社のアライアンスが盛んですが、どんなメリットがあるのですか?
   <航空会社・営業戦略物語>
    第8回 2002.12.26
       ザ・リッツカールトン、ウェスティン・・・、外資系ホテルが日本に進出していますが、
         日系ホテルはなぜ弱いのですか? <日系・外資系ホテル競争物語>
    第9回 2003.1.9
       ユニバーサルスタジオ、ディズニーランド&シーは元気ですが、他のテーマパークはあまりお客が
        行ってません。将来どうなるのですか? <テーマパーク生き残り作戦物語>
         第10回(最終回) 2003.1.23
     「生きた観光学の勉強を!」 Message from Prof.Suzuki




「観光学コラム」がブックレットとして、発行されました! 
(2003年6月中旬)
 

観光学コラム
                         第1回 2002.9.19

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
     ホームページ http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/

                     
      観光学を勉強すると、将来どんなところに役立つのですか?
          <若い学問「観光学」物語 その1>

きっと「観光学って何だろう?」と疑問がわくことでしょう。
 まず、これに答えておこう。ちょっと難しいけれども、「観光にかかわる社会現象を研究対象とする学問」のこと。自然、社会、文化の各科学分野での出来事を研究する裾野の広いそして新しい学問。皆さんもすでに聞いたり習ったりしている学問があると思いますが、例えば歴史学、心理学、経済学、経営学、法学など多くの学問の手助けを借りて研究する学問です(このことを一般に「学際的学問」・「複合的学問」などと言っています)。

 ところで、「21世紀は観光の時代」と呼ばれています。この言葉のように、国際観光は急激に拡大しています。昨年9月にアメリカの同時多発テロが発生し、国際的に人の流れが落ち込み、航空会社・ホテル・旅行会社などの旅行・観光産業が大きな痛手を負い、一時的停滞にありますが、世界的な観光は確実に伸びることは間違いないと思っています。WTO(世界観光機関)はあと20年後には、現在の2倍の国際観光客が世界を回ると推測しています。したがって、観光ビジネスは、世界最大のビジネスであることは確実です。
 この明るい未来の国際観光の流れの中で、観光学を学ぶことは「世界の動き」と同時に、「社会のシステム(カラクリ)」を知ることになります。それだけではありません。「では、国際観光の発展のためにはどうしたらよいか?」という疑問が当然、浮かびます。その答えは、「世界の人々の相互理解」と「平和」が必要だということになります。したがって、勉強だけでなく観光産業に従事することは、究極的には「世界平和に貢献すること」につながりませんか?

 ※次回は10月3日(木)に掲載

観光学コラム
                         第2回 2002.10.3

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
     ホームページ http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/

      (2)観光学を勉強すると、将来どんなところに役立つのですか?
                  <若い学問「観光学」物語 その2>

 前のコラムでは、観光学とは何か、そして観光学の勉強や観光産業への従事が世界の人々との相互理解と平和に寄与することを述べましたが、今日はその続き。「観光学の勉強が何に役立つか?」 身近な話をしましょう。社会の観光現象をつきつめて勉強すると、現在の“ナマ”の社会がわかることです。毎日のテレビや新聞報道に注意してください。今までよくわからなかった社会のちょっとした現象がよく理解できるようになる。

 
例えば、「日本人はなぜ、こんなに海外旅行にいくのだろうか?」、「外国人はワールドカップには来るけれども、なぜ普段は来ないのだろうか?」、「格安航空券は、なぜ安くなるのだろうか?」、「USJ(ユニバーサル・スタジオ)やTDR(ディズニーランド&シー)に、なぜ日本人はこんなに行くのだろうか?」など、日常的な現象の背景(ヒミツ)がわかるようになります。もちろん、あなたが観光産業で働くようになった時、そのヒミツ経営作戦でビジネスを行ってください。きっと成功しますよ。観光産業を発展させれば、地域経済や日本経済だけでなく、世界経済の活性化に貢献することになります。
 
 最後に、観光学の勉強方法に関して。「観光学は裾野の広い新たな学問」と話しましたが、あまり広すぎてわからないという学生がいます。スタートは自分の関心のある身近なテーマを勉強する、この方法でいいのです。そして、徐々に拡大していくことです。また「新たな学問」ということは、他人がやらないたくさんのおもしろい研究対象があるということです。新たなテーマにチャレンジしてください!

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 ※次回は1017(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 観光学コラム
                         第3回 2002.10.17

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
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     3)外国には『観光大臣』がいますが、なぜ、日本にはいないのですか?                                   <世界観光大臣物語>             

『観光大臣って、日本で聞いたことがありますか?』。
外務大臣、財務大臣、法務大臣、環境大臣など、ときどきTVや新聞に登場しますが、「観光大臣」を聞いたことがないでしょう。日本にはなぜいない、と不思議がる人がいると思います。例えば、アジアではタイ、マレーシア、フィリピン、韓国、大洋州ではオーストラリアやニュージーランド、欧州ではイタリア、フランスなど多くの国々では観光振興のために大臣がおり、活発な動きをしています。
 一般に、
Minister for Tourism と呼んでいます。国によっては単独大臣ですが、「文化」、「芸術」、「産業」、「科学」、「スポーツ」、「健康余暇」、「工業」などと兼務した大臣も少なくありません。一方、アメリカやイギリスには観光大臣はいませんが、観光振興は民間に任した方が活発な動きをすると考えている国もあります。しかし、いざとなれば観光客誘致に、テレビに大統領が登場し「アメリカにいらっしゃい!」と言うこともあります。

 ところで、世界各国の観光への態度がはっきり現れたのは、先のアメリカ同時多発テロ。日本人が海外旅行を敬遠した状況を打開しようと、各国は観光大臣だけでなく、大統領、首相、駐日大使が活発な動きをしました。ニュージーランドの首相や観光大臣が日本の新聞に大きく出たのをご存知ですか? 
 では、「なぜ日本には大臣がいないのでしょうか?」、「日本の首相が海外のテレビで『日本にいらっしゃい!』となぜ、宣伝しないのでしょうか?」 結論を簡単に言えば、これまで外国人誘致のための観光振興に重きを置かない政策が大きな理由だからでした。しかし、最近はこれではいけない!とばかり政策転換をしています。詳しい続きは次回の『日本人海外旅行者
1,600万人、訪日外国人400万人、日本には、なぜ、こんなに外国人がこないのですか?<アウトバウンド&インバウンド国際観光物語>』でお話しましょう。
追伸までに、日本国で観光を担当しているところ・・・「国土交通省総合政策局観光部」。ワカッタ?

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 ※次回は1031(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                         第4回 2002.10.31

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
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    4)日本人海外旅行者1,600万人、訪日外国人400万人、
       日本には、なぜ、こんなに外国人がこないのですか? 
       <アウトバウンド&インバウンド国際観光物語>


 みなさん、「アウトバウンドやインバウンドって、知っていますか?」。まず、これらの意味をしっかり覚えよう。旅行産業や観光学研究分野では、頻繁に出てくる言葉で、国際観光(または、国際旅行)での双方の人的交流を指すもの。アウトバウンドは外国旅行(日本では「海外旅行」が一般的)を指し、インバウンドは外国人訪問(日本では、「訪日外国人旅行」と呼んでいる)のこと。健全な国際交流の形となれば、もちろん双方向に同じ程度の人の流れがあることが望ましいところでしょう。
 
 本日の課題は、日本を取り巻く国際旅行が極めて“いびつ”であり不均衡であること、このなぜでしょうに答えを出し、改善方法を述べることにしよう。なお、タイトルの数字は端数を削った昨年(
2001年)の数です。念のため。前回のコラムでお伝えしたように、「日本には観光大臣がいない」・・・と源を一緒にしています。すなわち外国人誘致に重きを置かなかったからなのです。歴史的には、戦後、経済大国になった日本では、過度の輸出増大によって国際摩擦が生じたため、1987年に「海外旅行倍増計画」(テン・ミリオン―1千万人―計画)が政府から発表され、同時に海外旅行は「日本人の国際化」と同一視され、“それ行けドンドン”。インバウンド観光はおろそかにされてきました。そして、近年になり不均衡な交流は健全ではない、また、訪日外国人の増加は日本経済を活性化する方法である、これらのことがわかりかけてきたのです。こうして、ここ2,3年に日本政府もインバウンドに力を入れ始めてきたのです。
 
 ところで、みなさん、一番大事なことを今日の最後に。政府や旅行産業が訪日外国人誘致にどんなに懸命であっても、一番肝心な“もの”がない限り、成功しません。それは“みなさんの心”。国民の一人一人が外国人をウェルカムする気持ち、すなわち「ホスピタリティ(
Hospitalityもてなしの心)」なのです。街角で、地図を持ちウロウロした外国人には、道を教えてください。たどたどしい英語でいいし、中国人らしかったら漢字でいいのです。(私の体験記:昨年夏、ニューヨークの地下鉄内で、親切に声をかけてくれたアメリカ人の行動は、私の米国人観を一変させました)。
1,600万人の訪日外国人誘致に向かって、がんばってください!
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 ※次回は1114(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)
 
 
 観光学コラム
                         第5回 2002.11.14

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
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5)『観光の効果』、いい事ばかり言っていますが悪いこともあるんじゃないですか?
         <観光振興・プラス&マイナス物語>  

今回は、ちょっと難しいテーマについて。観光学部の学生を目指す人には、是非、知っておいてほしいこと。最近、世界各国でも日本国内でも、観光開発&振興が盛んで『観光の効果』が大きいことがしきりと唱えられています。「良い効果」ばかりが前面に出ていますが、果たして悪い影響はないのでしょうか? 今日はこの疑問に答えよう。
 
  まず、良い点といえば、経済面では@「外貨獲得」やA「雇用創出」、社会文化面ではB「平和創出」やC「国際理解」、自然環境面ではD「自然資源の保護保全」など。まだまだあるのですが・・・。今までは、経済的に豊かになる(@やA)面ばかりが大きく映し出されてきたけれど、先の悲劇的なアメリカの同時多発テロで「観光」の重要性が再認識されました。世界的に、常日頃の国際理解と平和が必要だと言うこと。そして、平和でないと観光が進まず、観光が盛んになればさらに平和になっていく・・・。BやCが理解できたでしょうか?

 では、悪い面はどうだろうか? E「乱開発による自然環境や生活環境の破壊」、
F「風紀の悪化」など。「観光客が多く環境が悪化した」なんて、時々、耳にします。将来、観光産業で働こうとする人は、特にEやFに気をつけなければなりませんね。最近、「エコツーリズム」や「グリーン・ツーリズム」などの新たな観光形態が登場してきていますが、これらはEを未然に防ごうと出てきたものです。さて、紙面も少ないので、ここで締めくくりを・・・、「観光開発&振興はプラス面を思いっきり伸ばし、マイナス面を『ゼロ』もしくは『限りなく小さくする』ことだ」と私は考えています。
どうですか? みなさん。

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 ※次回は1128(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                         第6回 2002.11.28

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
     ホームページ http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/

                                                 
   6)インターネットが発達すると、将来『インターネット旅行会社』
      ばかりになってしまうのですか? <未来旅行会社物語>

   『旅行の申込み』といえば、@「旅行会社のカウンターに行く」、A「電話で頼む」、 B「インターネットでする」。あなたなら、どの方法で? 最近の調査(財JTB2002年)によると、Bインターネット予約が、この2〜3年、伸び率は急上昇とのこと、数字的には全体の5%前後ですが・・・。ではこのまま伸びていけば、10年後には旅行に行く人の半分以上はインターネット予約で? そうすれば、「旅行会社は要らない?」・・・こんな「旅行会社不要論」が出てくるのではないかと思います。皆さんの中には、観光学部に進学し、将来は旅行産業に就職したいと思っている人が多いと思います。
 
 では、将来の君たちの就職先がなくなってしまう、そんな心配が出てくるのではないか。しかし、ご心配ご無用。まず、結論から・・・・『インターネットは万能ではないのです』。なるほど、インターネットは単純な往復航空券や宿泊ホテル、定型のパッケージ・ツアーなどの予約は、ほんとうに威力を発揮します。特に、海外旅行客が現在、
1,600万人ですが、「2,000万人時代」もそう遠くないと思いますが、そのような時代に大きな役割を占めることは間違いないと思っています。しかし、インターネットではできない分野があるのを知っていますか? 
 例えば、熟高年時代。シニアの人の旅行の希望をあれこれ聞いて、その人にあった旅行を組み立てる。また、国際交流時代。国際会議や海外での集まりを組織し人的交流を盛んにする。海外ウエディング時代。「変わったところでセレモニー(式)をしたいヮ」。いずれをとっても、これらはプロフェッショナルなコンサルタント的提案型旅行ビジネス。まだあります。欧米では多くが参加しているクルーズ旅行ですが、日本ではもう
1つ元気がありません。この面でも、クルーズのプロが待たれています。これからは“旅のリピーター(なんども旅行に行く人)”がどんどん増えます。これらのお客様に対応するには、インターネットだけではむりで、 “インターネットを駆使”した旅行のプロが必要なんです。
今までは、なんでも屋の“総合”旅行会社時代でしたが、これからは“専門”旅行会社時代の到来なんです。 

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 ※次回は1212(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                         第7回 2002.12.12

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
     ホームページ http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/

                                                 
7)世界の航空会社のアライアンスが盛んですが、どんなメリットがあるのですか?
             <航空会社・営業戦略物語>

私は、毎月2〜3回、関西空港〜羽田を往復します。家族のいる東京と大学所在地の大阪を...。そう、単身赴任なんです。
 その都度、私の乗る飛行機は、「ユナイテッド航空○○便」、「ルフトハンザ・ドイツ航空○×便」、「エアー・カナダ×○便」、「アシアナ航空××便」。これらの便で行ったり帰ったり、国際的なんです。搭乗口には「本日はANA○○○便、ユナイテッド航空×××便にご搭乗いただきまして、誠にありがとうございます」の趣旨の看板が立っている。もちろん、乗客にはアメリカ人も、ドイツ人も、カナダ人も、韓国人もまずはいない。日本国内ですからほとんど日本人。実際に乗る飛行機は日系航空会社。なぜこんな奇妙な現象が...。

 これは航空会社の営業戦略なのです。これを航空会社の「アライアンス戦略」。
Allianceと英語で書きます。航空会社が提携・同盟関係を結び、マーケティング、販売、顧客サービス面での競争力を増強させること。この作戦は@広大なネットワークの構築、A路線と輸送力の拡充、B機材・チェックインカウンター・空港ラウンジなどの効率的(共同)運用など。新聞にときどき、グループの宣伝がでていますね。例えば、「スター・アライアンス」、「ワン・ワールド」、「ウィングス・アライアンス」など。冒頭の日系航空機に外国の便名が付いているのは、「コード・シェア(共同運航)」と呼ばれ同一グループ内で実施され、結果的に私たちに安い航空券を提供する、これもメリットの1つ。
 
 また、みなさんの身近な「マイレージ(正式にはFFP―フリークエント・フライヤーズ・プログラム―サービス)」は同一グループ内なら、マイル加算がOK。一定のマイレージに達すると、無料の航空券のほかホテル宿泊券、レンタカー、タクシー、ゴルフパッケージ、アップグレード(エコノミーからビジネスなど、
1つ上のクラスに搭乗できる)など、なんでも利用できる特典があります。
 しかし、疑問がないわけではありません。最近は、ボーナス・マイレージなど期間限定で、“大安売り”&“たたき売り”のマイレージが次々に登場しています。
『航空会社の将来の経営上、ほんとうに大丈夫かな?』。この疑問を解くのは、観光学部に入ってからにしよう。本日はここまで。

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 ※次回は1226(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                         第8回 2002.12.26

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
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  8)リッツカールトン、ウエスティン・・・、外資系ホテルが日本に進出していますが、日系ホテルはなぜ弱いのですか? <日系・外資系ホテル競争物語>

「リッツカールトン」、「ウエスティン」、「マリオット」、「フォーシーズン」、「メリディアン」、「ヒルトン」、「シェラトン」、「ハイヤット」など、横文字のホテルが続々登場。近い将来、あの超デラックスな「ペニンシュラ」や「リージェント」もという話もあります。これはニューヨーク、香港、シンガポールなどの海外での話ではありません。この日本なのです。これらを一般に「外資系ホテル」と呼んでいますが、今日のテーマは日系ホテルに比べて、「なぜ、かれらはそんなに元気?」。(注:日本では、「外資系ホテル」と呼んでいますが、所有や経営は日本側、運営だけを外国企業に委託しているケースが多くなっています)。

その前に、日系ホテルの活躍していた時代をちょっとばかり、振り返りましょう。バブル期がはじける前、1990年初めまで、多くの日系ホテルが世界に進出していたんです。JALホテル、ANAホテルなどの航空会社系列ホテルをはじめ、ゼネコンといわれる建設会社所有のホテルが、世界各地に林立していたのです。21世紀を迎えた今日では、それらのほとんどが撤退。もちろん大きな理由は金融・経済的破綻ですが、それとともに外資系ホテル・チェーンのホテル・マネジメントとの競争に負けたからなのです。最近でも、ある有名な日系ホテルが、世界的ホテル・チェーンへと名称が変わった例がありました。
ところで、かれらはどんな経営戦略をとっているのでしょうか? 

@M&A(MergerAcquisition):これは企業による他企業の「吸収・合併」のこと。厳しい経営環境の下、現在、ホテル産業で盛んに行なわれています。そのためここ、5、6年の間、ホテルの名前が激しく変わっています。

AFGP(
Frequent Guest Program):これは前回述べた航空会社の戦略(マイレージ・サービス)と同じ原理のもので顧客囲い込み作戦。チェーンホテルで宿泊した度にポイントが与えられ、貯まったポイントを利用して無料でホテル宿泊ができたりするシステム。

BGDS(
Global Distribution System):地球規模の予約ネットワークのこと。国際ホテル・チェーンの持つ重要な戦略の1つですが、日系ホテルと比較して、圧倒的な強さを持っています。
 これら以外にいろいろありますが、種々の戦略で日系ホテルが苦境に立たされています。さてここで、みなさんの将来について。

『外資系ホテルで実力を試してみますか? OR 日系ホテルに入りバンカイ作戦をとりますか?』 
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 ※次回は19日(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                         第9回 2003.1.9

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
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  9)ユニバーサルスタジオ、ディズニーランド&シーは元気ですが、
   他のテーマパークはあまりお客が行ってません。将来、どうなるのですか?

          <テーマパーク生き残り作戦物語>

   先日、大阪のUSJに行ってきました。昨年行ったフロリダのものと比較しながら、じっくり見てきました。休日なのに、“人通り”はもう1つと言うところ。覚えているでしょうか? USJの安全基準や経営方法に問題が生じて、テレビや新聞でにぎやかに報道されたことを。安全性や健全な経営が一番大切なのです。(テーマパークだけではありませんが・・・)。USJはこのところ、やや勢いを落としているのですが、再度盛り上がりを見せることと信じています。一方、東京ディズニーリゾート(TDR)は「LAND」に「SEA」を加え、好評を博しています。これらの2大テーマパーク以外に、日本国内に多くのテーマパークがありますが、近年、倒産したり休園したり、また営業的に苦戦を強いられています。

 ところで、テーマパークの経営に関しては、何が一番大事なんでしょうか? 

@テーマ自身の設定はどうだろうか。A目標人員の正確な予測ができているだろうか。
B消費者への継続的な情報を発信しているだろうか? などという重要性もありますが、一番、重要なのは『いかに継続的に、多数のリピーターを誘致できるか?』と私は考えている。そのために各種イベントの催し、オリジナリティ(独創性)、ホスピタリティ(もてなしの心)などが欠かせないもの。特に、2大テーマパークと戦う日本のテーマパークは、いかに「独創性」を発揮できるかが重要なポイントでしょう。また、日本人以外のアジア人(特に、中国人や韓国人)誘致に熱い目が注がれていますが、単に、標識、通訳の配置だけでなく、イベントをいかにエンジョイさせるかが大事でしょう。
先日見た「ターミネーター2:3−D」での比較的長い説明に、そこにいた中国人や韓国人はどこまで理解できただろうか?

<追加>「テーマパーク(THEME PARK)」とは、「特定のテーマによる非日常的な空間の創造を目的として、施設・運営がそのテーマに基づいて統一的かつ排他的に行われているアミューズメント・パークである」(長谷政弘編著『観光学辞典』同文館、1997年、87頁)。
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 ※次回は123日(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)

 
 
 観光学コラム
                     第10回(最終回) 2003.1.23

 
 鈴木勝 教授  鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
 Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
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  10)「生きた観光学の勉強を!」Message from Prof. Suzuki

 今回のコラムが
10回目、最後となりました。「観光学は何?」、「観光学の勉強は役立つの?」から始まって、理論的というよりも、実践的な観光学について述べてきました。 「観光学は裾野が広い学問」・「学際的学問」・「複合的学問」ということを、多少でも理解できたら嬉しいと思っています。観光学部の学生になったら、どこからでもいい、好きな分野から勉強してください。だれも手を付けていない研究テーマがごろごろありますよ。 きっと。
 
 今日は、私が研究していることを教えましょう。
「国際観光振興」に関して、特にアジア太平洋諸国の観光研究とその発展に力を注いでいます。これは大学教授になる
(20004)前から、旅行会社社員時代から、30年近くがんばっています。途中10年間、オーストラリアと中国の両観光立国に生活をし、観光産業の基礎作りをしていました。また、日本にいるときは数多くの国を回りこれらの国々の観光関係者(ホテル・旅行会社・航空会社・テーマパーク・クルーズ・免税品店など)をはじめ、時には首相や観光大臣などにも会い、観光振興の手伝いをしてきました。

 その際には、既に述べたように、できるだけ観光のマイナス面を少なくし、プラス面を推進させる方法を念頭にしてきました。いま、しみじみと「観光(
Tourism)」が大事であることがわかってきました。現在は、大学で講義をしていますが、時間を見つけては海外を飛び回っています。一昨年は、国際機関「アセアン(ASEAN)センター」の依頼で観光振興の手伝いでフィリピン&ブルネイに飛び、昨年の1月には学生10名と一緒にニューヨークに、そして10月には観光振興会議のスピーカー(講演者)として中国に。12月にはラオスとタイにメコン川流域観光開発研究に行ってきました。そして今年2月上旬には学生7人ほどとヨーロッパ(フィレンツェ&ローマ)です。
 机の上の理論だけでなく、
Field(野外)に出ることが大切と、常々思っています。みなさんもぜひ、この心構えでがんばってください。

 ところで、こうして海外の観光振興に熱中してきたのですが、問題は「日本にあり」・・・ 近頃は、日本も外国人誘致に力を入れ出しましたが、昨年のワールド・カップの時のように、周りには外国人がたくさん・・・という日本にしていきましょう。みなさんの中で、 共鳴する人は入学後、ぜひ一緒に・・・。ではまた会う日まで。
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  ※今回で観光学コラムは終了です。ご愛読ありがとうございました。
    観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(
webmaster@meijo.ac.jp)