鈴木勝 教授 鈴木教授が語るあなたの身近にある観光学。
Profile 元JTBアジア日本支社長の経験をいかし、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光振興について研究している。
ホームページ http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/
8)リッツカールトン、ウエスティン・・・、外資系ホテルが日本に進出していますが、日系ホテルはなぜ弱いのですか? <日系・外資系ホテル競争物語>
「リッツカールトン」、「ウエスティン」、「マリオット」、「フォーシーズン」、「メリディアン」、「ヒルトン」、「シェラトン」、「ハイヤット」など、横文字のホテルが続々登場。近い将来、あの超デラックスな「ペニンシュラ」や「リージェント」もという話もあります。これはニューヨーク、香港、シンガポールなどの海外での話ではありません。この日本なのです。これらを一般に「外資系ホテル」と呼んでいますが、今日のテーマは日系ホテルに比べて、「なぜ、かれらはそんなに元気?」。(注:日本では、「外資系ホテル」と呼んでいますが、所有や経営は日本側、運営だけを外国企業に委託しているケースが多くなっています)。
その前に、日系ホテルの活躍していた時代をちょっとばかり、振り返りましょう。バブル期がはじける前、1990年初めまで、多くの日系ホテルが世界に進出していたんです。JALホテル、ANAホテルなどの航空会社系列ホテルをはじめ、ゼネコンといわれる建設会社所有のホテルが、世界各地に林立していたのです。21世紀を迎えた今日では、それらのほとんどが撤退。もちろん大きな理由は金融・経済的破綻ですが、それとともに外資系ホテル・チェーンのホテル・マネジメントとの競争に負けたからなのです。最近でも、ある有名な日系ホテルが、世界的ホテル・チェーンへと名称が変わった例がありました。
ところで、かれらはどんな経営戦略をとっているのでしょうか?
@M&A(Merger&Acquisition):これは企業による他企業の「吸収・合併」のこと。厳しい経営環境の下、現在、ホテル産業で盛んに行なわれています。そのためここ、5、6年の間、ホテルの名前が激しく変わっています。
AFGP(Frequent Guest Program):これは前回述べた航空会社の戦略(マイレージ・サービス)と同じ原理のもので顧客囲い込み作戦。チェーンホテルで宿泊した度にポイントが与えられ、貯まったポイントを利用して無料でホテル宿泊ができたりするシステム。
BGDS(Global Distribution System):地球規模の予約ネットワークのこと。国際ホテル・チェーンの持つ重要な戦略の1つですが、日系ホテルと比較して、圧倒的な強さを持っています。
これら以外にいろいろありますが、種々の戦略で日系ホテルが苦境に立たされています。さてここで、みなさんの将来について。
『外資系ホテルで実力を試してみますか? OR
日系ホテルに入りバンカイ作戦をとりますか?』
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※次回は1月9日(木)に掲載。観光学コラムへのご意見、ご感想はこちらまで。(webmaster@meijo.ac.jp)