
◆観光大国への道―海外事例をヒントにした提言―
定例常任理事会/3月17日(月)
講師:大阪明浄大学観光学部教授 鈴木 勝氏
観光国としての日本の現況は、日本人海外旅行客が訪日外国人を大きく上回り、インバウンドとアウトバウンドの均衡がとれていない。これを是正し、地域色豊かで、ホスピタリティーあふれた国にすることが、日本・関西がめざすべき「観光大国」像である。
これを実現する観光戦略の手法としては、トランジットVISAや期間限定VISA免除など国家(官)レベルだけでなく、旅行商品の開発など民間レベル、さらには「官・民・学」合同観光プロモーションなどが考えられる。
受け身の姿勢ではなく、相手の国の言葉や歴史を学ぶ積極性が必要なインバウンド振興は、国際交流の「基本形」といえる。

2003年3月17日
<関西経済連合会・常任理事会・講演(レジュメ)>
『観光大国への道』
(海外事例をヒントにした提言)
<はじめに> 自己紹介
<T> 観光国としての日本の現況
* 日本人海外旅行客:訪日外国人1,621万人:477万人≒4:1<2001年>
(訪日外国人2002年:5,244,000人 JNTOによる推計値)
* 訪日外国人順位: 世界35位
* ジャパン・パッシング傾向 |
<U> 日本&関西が目指すべき「観光大国」像
* 「インバウンド&アウトバウンド」の均衡のとれた日本&関西
* 地域色豊かな、輝く日本&関西
* ホスピタリティあふれた日本&関西
<V> 「日本」&「関西」の観光戦略の手法
[1] 国家(官)レベルによる観光大国への手法
@首相・観光(担当)大臣・大使などの観光アピール&プロモーション活動
A国家観光機関・地方自治体による活発な情報発信とマーケティング分析
例:観光立国における情報データ発進&マーケティング戦略
例:複数外国語での発進 (“なま”&“役に立つ”インフォメーション)
例:各省・機関連携による推進 (イベント&修学旅行誘致)
B外国人渡航緩和策
例:VISA緩和免除・トランジットVISA・地域限定/期間限定VISA免除
C近隣諸国(中国・韓国・ASEANなど)との共同観光プロモーション
D民間企業・起業活性化支援策
例:オーストラリアにおけるExport
Market Development Grants
例:関西空港利用企画・支援策
E国家観光機関・地方自治体などへの外国人プロフェッショナルの登用
[2] 民間レベルによる観光大国への手法
@ インバウンド(訪日外国人)ビジネスの拡大
例:インバウンド・ビジネス経営手法の改革
「JATA(日本旅行業協会)の取扱」インバウンド比率:全取扱の0.5%
例:航空会社による訪日外国人扱い
例:海外企業・外国人による訪日旅行ビジネス参画への促進
A 旅行商品の開発(魅力ある旅行商品企画・低廉化への手法)
例:日本旅行の選択肢の拡大(国内交通機関・宿泊施設・食事etc.)
例:多様な形態(国際会議・産業観光・青少年修学旅行etc.)
B 地域の観光資源の整備&情報発進(複数外国語利用):インターネット活用
[3] 「官・民・学」合同による観光大国への手法
@情報発信―国家観光推進機関・地方自治体・企業―
・「一般観光情報」+「プロフェッショナル対応情報(海外&国内専門家)」
A合同観光プロモーション
・効果的な海外観光ミッション:段階的・国別・重点的・継続的・官民のプロモーションの手法
B人材育成・登用
・インバウンド関連スタッフの増強
・「外国人マネジャー」や「女性ホスピタリティ担当者」の積極的登用
・大学・専門機関でのインバウンド教育
・ガイド・通訳etc.の養成
<最後に>
@ 「訪日ツーリズム・キャンペーン」・・・継続的・明確な目標設定
「ウエルカムプラン21」 <目標>2005年に 700万人 (1996年発表)
「新ウエルカムプラン21」 2007年に 800万人 (2000年)
「テン・ミリオン計画」 2010年に1,000万人 (2003年)
※ 同時に、日本人海外旅行者の健全な伸び
A インバウンド観光振興は、国際交流の“基本形”
以上 |