観光振興との関連で付け加えると、富山県の支援(寄付)を受けての講座「観光政策論」も、地域貢献のひとつといえるだろう。この講座は平成16年度から始まって本年度で3年目。地域の人たちの間で高まってきた生涯学習のニーズに応えるために、また県や県内市町村が観光振興に積極的に取り組もうとする動きに合わせて始められた。
講義の基本的なスタイルは、観光政策や観光産業等で実績を上げた、いわゆる観光カリスマなどを順に招いて、その経験をうかがうところから富山での観光振興のあり方を学ぼうというもの。本年度は長野県白馬村の元村長・福島信行氏、大阪観光大学・鈴木勝教授、東京国際空港ターミナル・佐々木一成取締役など、観光に携わる産学官の多士済々12人が講師に名を連ね、後期の毎週月曜日に講義を行ってきた。
県の寄付講座であるため、講義は一般にも公開されている。従って地域学部の学生はもとより、地域の方々の他に観光関連の行政担当者、観光協会や商工会議所、まちづくりの担当者、また観光施設の経営者・管理者などが聴講。一般の受講者からは好評を博すとともに、学生には社会人と学ぶことによる一種の緊張感を与える場ともなっている。
「富山県には、一級の観光素材がたくさんあります。しかし県外客の誘致、交流人口を増やすという点で見ると、その素材を活かしきれていないように見受けられます。また、素材のよさが地元でも認知されていなかったり、PRの方法に検討の余地があったりするケースもある。そういう課題を解決するヒントを得るためのいい機会になっているようです」
長尾教授は「観光政策論」の意義をこう語り、「予算や外部講師の協力が得られる限りは講座を続け、地元の観光振興の一助にしたい」と熱い思いを語った。