☆ 書店に佇みて、「観光学」のSTATUSを考える・・・・・・。
最近、徐々に増えつつある観光学の書物。全国の書店での扱われ方で、観光学の位置付けが判ろうというもの。一方、国レベルでみるならば、その国にとっての観光学の発展&浸透度を知る一つのバロメーター。
では、全国いや世界、「書店行脚」のその結果は?
(この行脚は今後、何年か続きます)。
<スズキ流・番付表>
「観光学に理解ある、もしくは”重き”STATUSを置く書店」一覧表
−書店で「観光学」・「ツーリズム」・「ホスピタリティー」と
区分されるのは、いつの日か?− |
順位 |
書店名 |
所在地 |
内容 |
1 |
中国旅游
書店 |
中国
北京・建国門内大街 |
英文名”China Tourism Bookstore”「中国国家旅游局直営書店」だけあって、店舗全体が観光総合書店(決して大きな店ではないが)。「旅游学」「旅游管理」「旅游文化」「旅游教材」「旅游英語」「飯店学」・・・、もちろん、国内・海外のガイドブックも豊富(「観光」の文字よりも「旅游」が一般的)。中国での観光学の深さがうかがい知れる。
学問の進みの反面、実践的ホスピタリティでは「まだまだ改善の余地あり」の評価が実態といえる。 |
2 |
新華
書店「王府井書店」 |
中国
北京・王府井 |
新華書店チェーンのなかで、もっとも観光学書籍の多い店舗。4段書棚X3個。700余冊(含:専門学校教材、旅游HOW TOシリーズ)。陳列手法として、同一書籍を3冊ずつ並べている。(注1) |
3 |
新華
書店「北京図書書店」 |
中国
北京・西単 |
2001年2月⇒同年9月:「旅游学」コーナーを大きく模様替え。以前には多くの観光学術書が並んでいたが、これを限定し、ガイドブック(海外シリーズ)を増加させ、書棚を一階の前面に出した。これは”中国人海外旅行ブーム”を物語る
ものであろう。 |
4 |
KYOBO
書店 |
韓国
ソウル市 |
「観光学」コーナー設置。上位の中国には劣るが、韓国の水準の高さが判る。ただし、「国際観光」(インバウンド分野書籍)が大部分。英文書籍コーナーにもTOURISM書籍が5〜6冊。日本の「観光学辞典(長谷政弘編著)」のハングル版あり。ただし、韓国独自の「観光学辞典」が出版されていないのは不思議、
かつ残念でもある。 |
5 |
Dymocks
書店 |
豪州
シドニー |
「Hospitality」コーナーにて。店頭の目立つ書籍掲示ケースに「Marketing for Hospitality」が展示されている。観光学書籍が、一般書籍の中でベストセラーの一角に入っている印なのであろうか? |
6 |
芳林堂書店 |
東京
池袋 |
日本で数少ない『観光学』コーナー。加えて、書籍の下に「観光学・観光ビジネス」と記されている。さすが、観光教育発祥の立教大学の地元。しかしながら、書籍数がJNTOなどのデータブックを含みわずか40冊ほどとは・・・(立教大学が観光教育の拠点を埼玉・新座に移転させ学生数が減ったからか?) |
7 |
紀伊国屋
書店 |
東京・
新宿南店 |
『経済学』の大括りの中で「財政学」・「経済統計」・「マクロ経済」・「ミクロ経済」・「計量経済学」・「労働経済学」・「経済学史」・「観光学」・・・と続く。しっかりした学問として「観光」を捉えようとする姿勢が窺われる。しかしながら、合計20冊ほどとは寂しい限りである。観光関連書籍は、その他「業界研究」・「一般旅行取扱主任者」の2コーナーにて陳列されている。
なお、6階の洋書フロア―には、「TOURISM」コーナーあり。観光学・マーケティング書籍が8冊。 |
8
|
紀伊国屋
書店 |
東京・
新宿本店 |
a)2003年02月下旬・・・15位→8位上昇:『産業』コーナーの目立つ場所に、「観光学」コーナー設置。専門書籍もかなり増加合計90冊(これとは別にホテル関係30冊)。観光学書籍の平積みもあり。これは、小泉首相の「観光立国懇談会」発足なども影響してか?
b)「産業」コーナーに、観光論書籍(含:JNTO/日本観光協会出版のデータブック)がまとまって、約70冊。日本を代表する見地から、また、「一般・国内旅行主任者試験」コーナーの充実の割には、「産業」コーナーはPOORといえよう。 |
9 |
ジュンク堂 |
神戸
三の宮 |
「開発・環境経済学・人口・観光論」。高々と「観光論」のコーナーを設置(「学」には至っていないが・・・・)。 |
10 |
大盛堂 |
東京・渋谷 |
『専門書なら大盛堂』・・・店舗の入口に宣伝文句が記載されている。その名の通り、他の書店にない書物がぎっしり。観光学関連は「広告・宣伝」、「企画・流通」、「マーケティング」に専門書25冊(ホテル関連が中心)。これだけかと思い帰りがけると、書店の奥まった隅に、「観光学」「地理学」があるではないか。地理学を中心に、40冊(小著「国際ツーリズム振興論」もここにあり)。要望:せっかく、「観光学」と銘打うっているので、全てを一緒のコーナーに、且つ目立つ場所に置かれることを
・・・そうすれば、RANK UP。 |
11 |
旭屋
書店 |
東京
池袋 |
「マーケティング・経営学・労働」コーナーに置かれ、小さな表示で「観光」・「物流」・「ロジスティックス」とある。 |
12 |
書泉
グランデ |
東京
神田 |
「産業」コーナーに観光論書籍(含:JNTO/日本観光協会出版のデータブック)がまとまって、約80冊。書店の規模を考えると観光学に理解ある書店と推察。区分掲示が「産業」でなく「観光論(学)」にすれば、ランクはベスト3以内。 |
13 |
三省堂 |
東京
神田本店 |
「経済・経営」(旅行ホテル業界)30冊、「観光マーケティング」4冊、「新経済学」(観光経済学)4冊、「産業」観光関係2冊、「旅行業法」観光関係20冊・・・・「観光学(論)」書籍を探すのに5箇所を巡ることになる。1,2箇所になんとか整理できないものか?(「観光学」を意識して、整理すれば上位にランクされよう)。 |
14 |
八重洲ブックセンター |
東京駅前 |
a)2000年始め:二階の南窓際の隅に、まるで古本市での「一冊100円均一」コーナーの如く、観光学の書籍が置かれていた。
b)2001年に入り、「都市論」コーナーにやや所在を得るようになってきた。この頃まで、日本最大を誇る書店にしては、お粗末的処遇であった(観光学書籍30冊程・・ここまでランク付「最下位」)。
c)2001年8月(ランクは上昇):「都市・地域・まちづくり」に、「観光論」登場。観光学冊数50以上に、感嘆すべきはレイアウト、照明(書店員に賞賛の辞を呈す)。一方、隣接領域の「都市」の中身の充実さは驚くほど。 |
15 |
Marzocco |
フィレンツェ
イタリア |
フィレンツェで3本の指に入るといわれる本屋。「TOURISMO」コーナーに30冊の専門書(ただし、イタリア語)。観光マーケティング(デスティネーションに関する)、博物館学、Agritourismo。目立つ所(ディスプレー棚)に、[La
comunicazione e il marketing delle aree turistiche]が掲げられている・・・さすが観光立国・イタリアである(注3)。 |
16 |
ジュンク堂 |
京都
四条 |
「地方自治」コーナーにて配列。観光学専門書籍30冊。これをメインとして、その他「流通/広告」に観光マーケティング書籍2冊、「開業・店舗・経営」にホテル関連書が60冊ほど。ホテル関連が多いのは、観光都市・京都らしい。また、「司法試験」コーナーに「一般・国内旅行主任者試験」書籍60冊と多く、「学生の街・京都」を物語っている。 |
17 |
丸善書店 |
東京
日本橋 |
「商業経営」コーナー。ホテル・レストラン・飲食経営の中に”観光”関連が15冊ほど。とにかく、「観光学(論)」などの登場の余地はまったくなし。 |
18 |
ジュンク堂 |
大阪・梅田 |
「都市」コーナーにて配列。「一冊100円均一」コーナー的にゾンザイな置かれ方。神戸のチェーン店と比較すると大きな違い有り。ジュンク堂でも様々あり。 |
19 |
紀伊国屋
書店 |
大阪・本町 |
経済学コーナーに『交通論』と記して、20冊ほどの観光学専門書籍を配列。書店規模から考えたら、観光学に力が入っていない。 |
20 |
丸善書店 |
京都 |
「マーケティング」コーナー。観光学辞典(同文舘)を含めて、観光関連書籍7冊ほど。他に「ホテルサービス」コーナーにホテル関連書籍20冊。「観光学(論)」コーナーなどの考えなし。 |
21 |
Book
Store
[談] |
東京
浜松町
|
「ワンフロア東京最大級」との謳い文句だけあり、かなりの広さの書店。なぜか、観光学関連書籍は『ホテル業』コーナーにある。「観光学辞典」・「観光学入門」・「観光ビジネス論」を含め、ホテル・ホスピタリティーを中心としたレイアウト(50余冊)であり、「観光学(論)」全体の意識は見られない。一方、「社労士・通関士・中小企業診断士」コーナーに、50冊ほどの旅行主任者試験関連書籍あり(即席に作成されたと思われる掲示板「旅行主任者」が目立たなく置かれている)。 |
22 |
紀伊国屋
書店 |
東京・
渋谷 |
「各種業界」・・・・このコラムにホテル・航空・旅行関係の書籍が置かれている(「観光学入門」・「おこしやすの観光戦略」etc.)。合計60冊:半分以上がホテル関連書籍。別コーナー「資格試験」に取扱主任書籍が30冊。(紀伊国屋書店チェーンでも種々あり)。 |
23 |
「BOOK
1ST」
(ブックファースト) |
東京・渋谷 |
地上5階、地下1階・・・「本のデパート」と言われているが、旅行専門書は「業界別」に4冊。航空関係20冊。ホテル関係は「サービス」コーナーに30冊。観光学全般の専門書はほとんどない。 |
24 |
National Book Sore |
セブ
フィリピン |
イギリス・オーストラリアなどの英文観光学書籍。ただし、直接、触れられない。書店担当者に申し出て、探してもらうシステム。フィリピンで売れているのだろうか、「Tourism
in Developing Countries」(日本名:途上国観光論)の数冊の在庫あり。 |
25 |
金石堂書店 |
北投・台湾 |
台北郊外の小さな書店であるが、観光学名著「Hospitality & Travel Marketing(餐旅服務業興観光行銷)」、「The
Practice of Travel
Agent(旅運實務)」、博物館学の合計5冊あり(前2冊を購入せり)。大都会ならともかく、なぜ、このような場所に「観光学」専門書籍があるのか不思議である (なお、この場所は温泉で
有名な所)。一般旅行ガイドブックはかなりの冊数である。アウトバウンドの活発な台湾を物語っている。 |
26 |
Borders |
ニューヨーク
(Park Ave.) |
地下一階、地上3階のニューヨーク有数の書店。かなり熱心に探したが、観光学書籍は「Marketing
Hospitality & Tourism」一冊のみ。書店区分「Management」(Small
Business)」。なんともくやしい限り。次回は他の書店を。他方、トラベル・ガイドブックの種類は世界一と思われるほどの陳列・・・6、000冊以上(注2)。 |
27 |
Barnes & Nobles |
ニューヨーク
(5番街) |
ニューヨークでは指折りの書店。店内には上下一基のエスカレーターまで設置されている。しかしながら、「Management」、「Small
Business」の区分分けは、上記のBordersと似たり寄ったり。こちらは、Hospitalityを含めて、一冊の書籍もなし。入口付近の「NEW YORK」案内ガイドブック数はそれこそ、世界最大の冊数? |
28 |
Coliseum
Books |
ニューヨーク
(Columbus Cir.) |
ニューヨークでは、指折りの書店とのこと。観光学書籍なし。トラベル・ガイドブック・地図類は至って豊富。2階のART書籍コーナーの充実さは見事。 |
29 |
Barnes & Nobles |
オーランド
フロリダ
|
オーランド指折りの書店。観光学書籍なし。トラベル・ガイドブックの種類はニューヨーク・Bordersほどではないが、至って豊富。 |
30 |
誠品書店 |
台北・台湾 |
台北市内で最も大規模な書店の一つ。常に”買い物カゴ”に5,6冊入れた平気な顔の購入希望者が列をなしている(驚くなかれいつも15人ほど)。なんにでも並ぶ台湾人、全く気に留めていない。ところで、観光学専門書は
、「市場研究・傅銷」コーナーにサービス(服務)関係書籍として、「観光」ページのある本がたった一冊。中国本土の北京などの書店と大きな違いあり(しかしながら、一般旅行ガイドブックはかなりの冊数である。アウトバウンドの活発な台湾を物語っている)。この書店では観光学への熱意は全く見られない(読者が少ないのだろうか?)。次の台湾行きの際には、再度、チャレンジ。 |
31 |
ジュンク堂 |
東京・池袋 |
地上九階、地下一階、売り場面積2,000坪、各書棚はきめ細かく分類され、さすが日本でも1、2位を争う書店と言える(ちなみに、憲法学だけで1,500冊、民法2,400冊ほど)。しかしながら、「観光学」に対する理解・認識度は「ゼロ」…したがって、最下位にランク。(神戸の同チェーン店とは大きな差あり)。<詳細>観光学書籍の所在地:「業界読物(15冊)・・・このコーナーに硬い観光学書籍」。その他、「マーケティング(5冊)」。「貿易・通関士」コーナーに・・・この棚に旅行主任者試験関係書籍・観光の法律が少なからずあるのもかかわらず、『旅行・観光』の文字が一切記載されていないのは不思議。バラバラのコーナーの書籍数合計を見ても、日本で発行されているもののうち、わずか。 |
32 |
OAZO |
東京・丸の内 |
鳴り物入りで東京駅のまん前に作られた本屋さん。しかし、観光学には全くといって理解が見られない。「観光学の本はどこに?」・・・そんな学問があるのかという顔。姿を消して、10分近く。「あそこと、あそこと、ここに・・・、分かれて何冊かあります」という。尋ねる前に、ここはというところを探してはいた。ほんとにわかりずらいので、敢えて聞いたわけだ。調べた結果。「業界研究コーナー」に『観光』と表示され9冊。「経済各論コーナー」に一冊(「観光資源論」)のみ。 |