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「元JTBアジア」支社長が教えるツアーづくりの極意
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大阪明浄大学は観光の可能性を追究する新しい学問、観光学を展開する日本で唯一の単科大学。教員スタッフには業界の実務経験者が多数起用され、好奇心を刺激する講義・実習がズラリとそろう。JTBに長年在籍し、アジア日本支社長も務めた鈴木勝教授もその一人。旅行業務全般からツアーづくりの極意、マーケティング戦略まで、経験に基づいたリアルな学びを教授している。「観光学は裾野の広い学問です。たとえば、旅行業務の場合は経営・経済の基礎知識はもちろん、国際情勢の把握や文化的な素養も必要ですし、海外ツアー企画の料金設定では半年・1年先の為替損益を予測する能力も求められます」と、業界のニーズを的確に指摘する。基礎と実践を巧みに織り交ぜ、プロを養成していく鈴木教授の講義は学生からも人気が高い。
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アジア太平洋地域の観光促進とインバウンドの活性化
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「生きているビジネスを扱うので講義内容は常に変化します。いかに世界の観光を活性化させていくか。それが私のバックボーンです」。鈴木教授の専門は、国際ツーリズム振興論。前職の経験を活かし、将来性の高いアジア太平洋地域の観光促進についての研究を行いながら、国内外に赴き国際ツーリズムの活性化のための支援活動や講演なども精力的にこなす。さらに、「年間の日本人海外旅行者(アウトバウンド)が約1,600万人なのに対し、日本へ来る外国人旅行者(インバウンド)は約500万人。3:1のひらきがあります。低迷する日本経済の対策として観光は切り札になります。昨年、政府もインバウンドの活性化を呼びかけましたが、日本はこの分野にまだまだ弱い。いまこそプロフェッショナルの力が必要ではないかと思います」と力強く語る。鈴木研究室のホームページには、こうした自身の活動報告とともに、観光業界のイベントやトレードショウなどの情報も提供。学生たちに参加を呼びかけている。
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ビジネス現場で能力を磨き、国際交流のプロをめざす
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JATAトラベルマート(世界旅行博)、国際観光機関(WTO)奈良会議、そして海外の政府観光局が日本の業界関係者向けに行うイベントなど、鈴木教授が提供した学外活動に多くの学生たちが参加した。「ビジネスが動く現場を見ることは学生にとって大きな刺激。現地の関係者に接し、インターンシップなどを直接交渉する学生もいます。コミュニケーション能力も磨けるし、自分の英語力がいかに未熟か、も実感できます(笑)」。いろんな“ショック”を受けることで意欲は高まる。実際、語学力が飛躍的に上達した学生は多い。国際社会で活躍できる多彩な素養とスキルが修得できる同学部では、最近、ホテル・旅行業界だけでなく、公的機関の国際交流部門への就職を志望する学生も増えてきた。「教育を通して仲間を育て、観光の促進を」という鈴木教授の願いは叶えられつつある。
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