大阪明浄大学観光学部教授 鈴木勝
m-suzuki@meijo.ac.jp
http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/
<目次>
[T] 香港の観光統計「概要」
[U] 香港の観光統計レポート「香港旅遊業統計」調査
(1) HKTB(香港旅遊発展局)組織 <添付資料>
(2) 統計データによる具体的手法の考察
1) 2003年動向 [HONG KONG VISITOR ARRIVAL STATISTICS]
& [JAPAN MARKET SHARE] <添付資料>
2) 2002年動向「香港旅遊業統計」([ A
STATISCAL REVIEW OF
HONG KONG TOURISM 2002]) <添付資料>
(3) 観光統計の目的
1) 「観光客到着数」「観光客消費額」 「満足度」「マーケット・シェア」の把握
2) 「香港住民(Tax
Payer)」への告知と観光産業の重要性の伝達
(4) 観光統計手法・根拠
☆ WTO統計基準に準拠した調査(含む:2002年版の修正・追加)
(5) 香港における観光統計上の課題
1) 観光関係機関の統計協力
2) 旅行者などの統計協力者
3) 統計データに対する再チェック・システム
(6) その他(近年の香港観光産業の実態)
[V] 香港観光統計と他国統計との比較
(1) 観光統計全般(日本・オーストラリア・ニュージーランド・中国)
☆観光統計作成の「迅速性」「内容」「NEWS RELEASEでの統計データ発表」
(2) インターネットHP上の観光統計
☆HP上から見る「観光立国度・日本&香港」
@「熱意度」、A「国家主張」、B「一般情報量」、
C「専門家情報」:国の内外の観光産業/学術関係者に対する統計データの発信、
D「インバウンド伸率」、E「言語数」、F「更改頻度」
[W] その他
☆香港観光統計を取り巻く外国観光関係者(旅行会社など)
[T] 香港の観光統計「概要」
1997年の香港の中国への返還を起点にして、訪香港・観光客の内容的変化とともに、
観光統計に関する面についても変化が生じている。返還以前における観光客のシェアは
中国人(本土中国)以外の“訪港旅客人数(Visitor Arrivals)”が、大きな割合を占めてい
たが、返還年を経過するにつれ、縮小されつつある。ちなみに、2002年度では、本土中国
人の割合は半数に近づきつつあり、41.2%に達している(返還後における観光統計に
関しては、従来どおり、本土中国人を扱っている)。一方、返還後における香港の観光産業
の比重は他産業と比較して、ますます高まりつつある。したがって、“香港政府”や住民に
とり、観光統計上の迅速性や精密性がより要求される現況にある。主眼とする観光統計
項目は、「観光客到着数」、「観光客消費額」、「満足度」、「マーケット・シェア」などである。
現在、観光統計を司るのは、HKTB(「香港政府観光局」―対外的に「政府」を呼称して
いるーHONG KONG TOURISM
BOARD)であるが、従来は、「香港観光協会」HKTA(HONG
KONG TOURIST ASSOCIATION)と呼ばれていた。呼称そのものが示すように、以前の組
織体は、ホテル、レストラン、免税店などの観光関連団体からの資金により組織が運営され
て各種統計がなされていたが、現在は政府からの資金により運営されている。したがって、
TAX PAYERである香港住民への告知義務、責任がより加重され、これらの要請に応えるべく、
他国の観光統計に比して、迅速、緻密性が際立っているように思える。これは各種観光マーケ
ティング・データを政策決定へ生かそうとの気持ちがうかがえるからであろう。加えて、各種観光
統計の公開性が高いといえる(統計類・ニュースリリースは英語および中国語の両言語で、
各メディアにて発表)。同時に、各種観光統計の発表により、香港住民の訪香港・観光客への
「HOSPITALITY&QUALITY UP」の重要性も訴えている。
HKTBとして、返還以降の観光客の不振に加え、2003年のSARSで甚大な影響を蒙りつつ
あるが、訪香港・旅客人数の不振の最新の観光統計データを資料にしつつ、中国政府(北京
政府)へ要請している背景がうかがわれる。この一環でもあろうが、渡航緩和策「本土中国人
の香港自由訪問」(個人旅行許可制度・・・従来は団体のみ)が2003年後期から実施されている。
[U] 香港の観光統計レポート「香港旅遊業統計」調査
(1) HKTB(香港旅遊発展局)組織 <添付資料>
(2) 統計データによる具体的手法の考察
1) 2003年動向 [HONG KONG VISITOR ARRIVAL STATISTICS]
& [JAPAN MARKET SHARE] <添付資料>
2) 2002年動向「香港旅遊業統計」([ A
STATISCAL REVIEW OF
HONG KONG TOURISM 2002]) <添付資料>
(3) 観光統計の目的
1) 「観光客到着数」「観光客消費額」 「満足度」「マーケット・シェア」の把握
(4) 観光統計手法・根拠
☆ WTO統計基準に準拠した調査・手順(2002年版の修正および追加項目を加える)
@ARRIVAL 2週間後に発表・・・「IMMIGRATION
DEPT.」との連携。
例:「1/1-1/10」 → 1/28 に発表
A1ヵ月遅れで、「航空」「ホテル」「列車」「海上(クルーズなど)」
・・・特に、HOTEL ASSOCIATIONとの強力な連携を保っている。
例:2003年末―2004年年始 ホテル稼働率(1/28時点で詳細あり)
Bインバウンドのみならず、アウトバウンドもデータ作成。
Cインタビュー手法による調査(出口調査・・・AIRPORT,SEAPORT)
*パッケージ・ツアー参加者&FIT(個人旅行)客
・・・宿泊ホテル名・泊数を尋ね、事前に入手のホテル・レートを乗ずる。
*SHOPPING[SPENDING EXPENDITURE]・・・インタビュー形式
・・・・・従来、SHOPからの協力を得ていたが、2000年以降、旅行客を
主眼に行う(HKTAからHKTBに改組後)
D統計データに含まれないもの。
*香港内における、国際便航空券販売額(香港―昆明など)
*香港―広州の列車代金
☆香港域内消費(Destination Consumption Expenditure)を下記のように6つに分けている。
@) Overnight Visitors
A) Same-day in-town visitors
B) Cruise Passengers C) Transit/Transfer Passengers
D) Servicemen E) Aircrew Members
E香港隣接地域(マカオなど)もWTO統計基準に準拠した手法で行っている
(重複計算と言われているが・・・・。シンガポールにおけるジョホール・バルも同様例)。
(5) 香港における観光統計上の課題
1) 観光関係機関の統計協力
*特に、「IMMIGRATION
DEPT.」「HOTEL ASSOCIATION」との調査が強力に実施さ
れている。(SHOPからのデータは、実際面で把握不可能)
2) 旅行者などの統計協力者
*<インタビュー事例>「日本人」vs.「中国人」比較
「日本人」・・・特に、ショッピングに関して、正直な申告が望めない・・・過少申告が
目立つ・・・ルイ・ヴィトンなどブランドに関して・・・・この結果、日本人のSPENDING額
が少なく統計データに表れている傾向がある。
(実際的政策決定段階では、不便を来たしている)。
.「中国人」・・・自分から積極的に申告。特に、ゴールドなど貴金属に関して
(帰国後に周囲に喧伝する国民性がある)。
支払い手法の習慣:日本人はCARD 中国人はCASH
ショッピング行動形態:日本人は大人数、中国人はミニ・グループ3〜4人
・・・・したがって、統計インタビュー対応に差が出ている
(中国人への調査は比較的に、細かくできる)。
宿泊ホテル傾向:「日本人」はデラックス、「中国人」は3星クラスで豪華なショッピング。
3) 統計データに対する再チェック・システム(重要事項に関して)
[V] 香港観光統計と他国統計との比較
(1) 観光統計全般(日本・オーストラリア・ニュージーランド・中国)
☆観光統計作成の「迅速性」「内容」「NEWS RELEASEでの統計データ発表」
(2) インターネットHP上の観光統計
☆HP上から見る観光立国度・日本&香港
@「熱意度」、A「国家主張」、B「一般情報量」、
C「専門家情報」:国の内外の観光産業/学術関係者に対する統計データの発信、D「インバウンド伸率」、E「言語数」、F「更改頻度」
[W] その他
☆香港観光統計を取り巻く外国観光関係者(旅行会社など)
(了)