京都府―ナホトカ市「外食産業・観光振興セミナー」(レジュメ)
「日本の観光産業の概要」 |
大阪明浄大学観光学部教授 鈴木勝
m-suzuki@meijo.ac.jp http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/
[序] 自己紹介
[Ⅰ]日本の国際観光 OUTBOUND vs. INBOUND
(1)現状(世界&日本) 「世界&日本の国際観光量」
年
項目 |
1970 |
1980 |
1990 |
1995 |
1998 |
2000 |
2001
(暫定値) |
2000/1970
(%) |
世界観光客数
(百万人) |
|
|
457.3 |
552.3
|
625.2
|
696.7 |
(692.6) |
420.2 |
東アジア太平洋
観光客数(“) |
5.3
|
21.0
|
54.6
|
81.3
|
86.9 |
109.1 |
(115.2) |
2,058.5 |
訪日外国人数
(万人) |
85.4 |
131.7 |
323.6 |
334.5 |
410.6 |
475.7 |
477.2 |
557.0 |
日本人海外旅行者数(万人) |
66.3 |
390.9 |
1,099.7 |
1,529.8 |
1,680.6 |
1,781.9 |
1,621.6 |
2,687.6 |
(資料)WTO(世界観光機関)/JNTO(国際観光振興機構)
<参考> 2002年 2003年 2004年(予想・JTB)
訪日外国人数(万人) 524
524(0%) 600(114.5%)
日本人海外旅行者数(万人)
1,652 1,335(80.8%) 1,650(123.6%)()内:前年比 |
☆増大する日本人の海外旅行
☆停滞気味の訪日外国人
☆コンスタントに伸びる日本人の国内旅行
日本人海外旅行者:訪日外国人旅行者=1,652万人:524万人=3:1
(2002年)
*日本政府による、VISIT
JAPAN CAMPAIGN [VJC] 倍増計画 スタート2003年
2010年に、訪日外国人を 1,000万人に。 |
(2)現況(ロシア・・・日本人の渡航者)
*過去10年間 年間36,000 ~ 45,000人であり、増加をしていない。
・・・・・・・全海外旅行者数の 「約0.25%」
*極東ロシアへは、全ロシアの約20% ・・・・・・7,000~9,000人
[Ⅱ] 海外旅行動向
(1)
<最も行きたいデスティネーション10
> → <実際に渡航したデスティネーション10>
順位 |
<最も行きたいデスティネーション> |
2003年
→
|
順位 |
<実際に渡航したデスティネーション> |
|
|
|
1 |
ハワイ (13.1%) |
1 |
中国(293万人) |
|
2 |
オーストラリア (12.8%) |
2 |
韓国(232万人) |
|
3 |
イタリア (8.8%)
|
3 |
ハワイ(149万人) |
|
4 |
カナダ (6.5%) |
4 |
香港(140万人) |
|
5 |
スイス (6.5%) |
5 |
アメリカ本土(136万人) |
|
6 |
フランス (4.0%)
|
6 |
タイ(123万人) |
|
7 |
中国 (3.9%) |
7 |
台湾(99万人) |
|
7 |
エジプト(3.9%) |
8 |
グアム(79万人) |
|
9 |
ニュージーランド (3.6%) |
9 |
シンガポール(72万人) |
|
10 |
アメリカ西海岸
(3.5%) |
10 |
オーストラリア(72万人) |
|
資料)JTB REPORT2003
☆急激に伸びる中国 (現在、NO.1)
☆コンスタントに伸びる韓国・ハワイ
☆伸び悩むオーストラリア・シンガポール
☆常に人気のヨーロッパ(近年、イタリア・ブーム)
☆総じて人気のアジア(理由:「安・近・短」・・・安い、近い、短期間)
(2)最近の海外旅行のトレンド
☆「大打撃の海外旅行」 ⇒2003年イラク戦争・SARS(新型肺炎)
⇒2001年アメリカ同時多発テロ
1)「団体旅行」⇒個人旅行化(FIT)&パッケージ・ツアーの隆盛
2)「選択肢多様化時代」=柔軟なパッケージ・ツァー
<選択肢の拡大の事例>
①ホテル(hotel):グレードアップ・延泊・シンデレラプラン
②フライト(flight):キャリアー選択、時間帯選択、グレードアップ
③食事(meal):なし、あり(スタンダード、デラックス、スーパーデラックス)
④観光・ショッピング(sightseeing&shopping)
⑤価格帯の拡大
3)二極化時代=「デラックス化」vs.「低価格ツアー」
*世界一周クルーズ(500~1,000万円)
*低価格化パッケージ・ツアーの隆盛
*格安航空券の流通
4)「ファミリーマーケット」の拡大
*母娘ツアー:50歳台母親+30歳前後の娘
「ショッピング+グルメ+エステ」・「デラックス・ホテル宿泊」・
「アジアのリゾート・フランス・イタリア・ハワイ」
*三世代ツアー:祖父母+両親+子供
*10歳未満(赤ちゃん)の子連れ旅
5)OL層の二極化現象:「海外旅行派」vs.「行かない派」
*20歳台の女性・・・・最大のマーケット
*ここ数年、減少・・・・「趣味の多様化」・「停滞する日本経済」などが原因。
6)「OL」のリーダーシップ⇒「熟高年」マーケットに。
*「安定した年金生活・「時間の余裕」、ただし「安全・治安に敏感なマーケット」
7)ハネムーン・・・海外挙式の隆盛(少子化時代であるが)
*海外ウエディング会社のネットワーク
8)「アジアン」ブーム(SARSの影響で一時的な陰り)
*安・近・短・文化・グルメ・エステ・雑貨etc.
9)リピーターの増加
10)インターネット販売の拡大
11)旅行予約の間際化傾向
12)
航空会社・ホテルによる直販化(旅行会社を介さない流通機構)
<その他>
海外旅行動向「テロ・SARS事件前⇒発生後」
☆安全・安心感(イメージ)を与える旅行企画へのシフト
海外旅行の阻害要因(2003年) 資料:JTB REPORT
2003 |
1 |
治安が心配である |
2 |
言葉に不安がある |
3 |
飛行機が嫌いである |
4 |
健康に不安がある |
5 |
費用がかかりすぎる |
☆国内旅行へのシフト
(3)希望する旅行目的
|
目的 |
回答比率 |
1 |
自然や風景を見て回りたい |
(64.8%) |
2 |
有名な史跡や建築物を見たい |
(40.2%) |
3 |
のんびり保養・休養したい |
(33.3%) |
4 |
自分の好物や、その土地の珍しい料理を味わいたい |
(31.6%) |
5 |
ショッピングを楽しみたい |
(28.3%) |
6 |
異文化を体験したい |
(24.8%) |
7 |
美術館や博物館を訪れたい |
(19.7%) |
8 |
その土地の人々との交歓・交流をしたい |
(10.9%) |
9 |
ウインドサーフィン・スキューバダイビングなどのマリンスポーツを楽しみたい |
(10.0%) |
10 |
有名なホテルに泊まりたい |
(9.4%) |
資料)JTB REPORT2003
(2)各企業分野
①旅行会社
年 |
第1種旅行業者 |
第2種旅行業者 |
第3種旅行業者 |
旅行業者代理業者 |
計 |
2001 |
868 |
2,762 |
6,188 |
1,308 |
11,126 |
②JATA(日本旅行業協会)加盟旅行会社 1,307社取扱額・比率 (2000年度)
区 分 |
取扱額(%) |
粗利益(%) |
外国人旅行 |
0.52 |
0.74 |
海外旅行 |
43.1 |
42.5 |
国内旅行 |
56.3 |
56.7 |
合計 |
100.0 |
100.0 |
②航空会社
☆JAL/ANA/新規航空会社
☆日本国内・・・空港利用シェア(海外旅行)

③ホテル
☆日系ホテル vs. 外資系ホテル
☆外資系ホテルの日本進出
④各国政府観光局
☆80箇所以上の政府観光局の進出
⑤テーマパーク
☆TDL・USJ・その他
⑥その他
[Ⅳ] ロシアの観光振興に関して
<提言>
①
観光振興の重要性の認識
☆ロシア・極東地域など国・地方政府および住民。官民合体
②
観光振興(プロモーション)
☆政府観光局(含む・地域)・航空会社・旅行会社・ホテル・レストランなど
☆当面、合同プロモーション。リピーターの増加につれて、個別振興。
☆ロシアの旅行会社+日本の旅行会社の有効活用
☆各種研修ツアーの実施(旅行会社・メディア)
☆継続的なプロモーション
③
情報提供の充実
☆各種パンフレット(英語・日本語)・ガイドブックの作成
☆インターネットの活用(海外への発信・・・英語・日本語にて)
④
旅行料金の低廉化への努力
☆航空運賃・ホテルなど・・・マーケティングの導入
(シーズン・ON/OFFによる料金格差)
⑤
国際級ホテルの建設・設備の充実、または国際ホテルの導入
⑥
観光ソフト・インフラの充実・整備・・・OLが個人旅行できる程度に。
☆各種インフォメーション案内システム・・・空港・市内(英語もしくは日本語)
(110番システム・・・・電話などの案内システム)
☆市内での食事・ショッピング・散策など・・・利用しやすい、わかりやすい案内表示(せめて、英語による表示)
☆タクシーの利用・・・利用しやすい、また公正な料金表示
⑦
観光産業の人材育成
⑧
治安・衛生状態
⑨
観光ビザ免除と入国手続きの簡素化
<了> |