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鈴木ゼミ 鈴木 勝 教授 |
JTBでオーストラリアや中国に長期赴任し、アジア日本支社長も務めた。その経験を踏まえ、観光業界のリアルな問題とその解決方法、アジア太平洋地域の観光促進について研究。執筆にも熱心で、著作は現在5冊を数える。 |
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私のゼミの共通研究テーマは、『国際ツーリズムをいかに振興させるか?』です。
国際ツーリズムの振興といえば、日本は従来、海外旅行の振興ばかりに熱心で、来る人のことはほとんど眼中にありませんでした。ところが、小泉首相が2003年1月の施政方針演説の中で「2010年に訪日外国人を1,000万人にしよう!」というプランを発表すると、状況が一変。今度は反対に、訪日外国人の誘致ばかりに目が向くようになっています。これは、国際ツーリズムの振興という観点からは憂慮すべきこと。外国から大勢の人に来てもらって、こちらからも行く。そのバランスは半々がベストです。当ゼミでは、その両方を対象とし、旅行の目的も、観光はもちろん、ビジネス出張や国際会議、イベントなど幅広く捉えていきます。
また、対象となる産業も多様です。たとえば、外食産業。オーストラリアなども、かつて旅行者の食事といえばブッシュバーベキュー一辺倒だったのが、シーフードレストランなどが充実して旅の魅力が増し、ツーリズムの振興に貢献しています。私自身は旅行会社の出身なので、その経験をベースに、ホテル、航空、クルーズ、テーマパーク、バス、レストラン、免税店など、旅行を活性化させるあらゆる産業を対象としていきます。
演習Iの前期に、基本書やレジュメに基づくディスカッションを通じて、国際ツーリズムの重要性と効果、振興の具体的手法について探究。後期及び演習IIで、各自テーマを定めて研究を進め、順次その研究計画や進捗状況について発表し、発表内容についてディスカッションを行っていく予定です。
私は、国際ツーリズム研究会というサークルの顧問も務め、学生たちを連れて世界各国のツーリズムのプロフェッショナルを対象とする大々的なトレードフェアに参加したり、海外に研修に出掛けたりしています。同じようにゼミでも、皆で大きな国際会議の運営ボランティアに参加したり、“低価格地帯”への海外研修旅行を実施したりというビッグイベントを盛り込んでいきます。
観光面における日本のポジションや世界における観光の実態などを、単なる机上論だけでなく、ゼミでの多彩な経験を通じて認識し、どんどん世界に出ていってもらうきっかけにしてもらえれば。そして、文章力やプレゼンテーション能力を高めながら、観光ビジネスのプロの片鱗を捉えて、好きな道を進むステップにしてもらえればと願っています。 |